市民を置き去りにする横須賀にしないために

2月25日(水)は会派「一市民」の代表質問でした。

代表として今年は私がが登壇し、休憩含めて約4時間にわたる議論を行いました。

市長の施政方針についてまず伺い、次に市民の暮らしに身近なテーマである「子育て」「教育」「福祉」の3点。
そして、次世代にどのような横須賀の姿を残すかという視点で「自然環境」にあえてテーマを絞って質問を行いました。

今回の質疑を通して、本市の課題がいくつか浮き彫りになったと思っています。

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■ 1. 理念が実現したのか検証不能で、市民の実感と結びついていないことを明らかにしました
「横須賀復活」「誰も一人にさせないまち」が、数値目標も達成基準もなく、「数値化できない理念」として扱われています。上地市長は「『誰も一人にさせないまち』という理念を集約して数値化するっていうことは不可能だと思う」と答弁しました。
現実には、不登校・虐待・孤立の深刻化が進んでいます。政策との関係を測る仕組みがなく、「市民が本当にそう感じているか」を検証するプロセスがありません。

■ 2. 大型再開発で、市の責任とビジョンを明確にするよう求めました
 浦賀駅前周辺再開発では、1,000億円規模にもかかわらず、責任分担の具体的な文書提示(三者協定)が既に2か月遅延しています。他の自治体では再開発が中止、見直しに追い込まれてるような事例もある中で、市民の意見を聴きながら、これ以上税からの支出を増やさずに、確実に開発が進むのか、やや不安の残る答弁でした。
 横須賀中央駅周辺の再開発は、地権者間の意見の違いを理由に、市としての都市デザインビジョンや将来の歩行者動線・広場配置などの目線合わせを避けており、結果として、ビルが林立するだけのまちになるリスクを回避できていない印象でした。
 市民の意見を聴くことと、「横須賀の顔」である横須賀中央駅前について市として明確にビジョンを掲げることは両立できるはずです。「それだけの力があるかどうかはわからないけども、できる限りやってみたいと思います」と上地市長答弁もありましたので、実現を求めていきます。

■ 3. 環境政策で、実際の自然損失を測る仕組みが欠落している点を指摘しました
 開発に伴う自然環境の損失を、「緑被率が維持されていれば計画上は守られている」とみなしており、生態系の量・質の変化を評価・補填する枠組みがありません。
 ネイチャーポジティブ※1や30by30※2に対応した「失った自然」と「増やした自然」の収支を可視化する指標導入を拒み、既存条例・指針の運用で足りると考えていることがわかりました。
 仕組み自体に問題があるという我々の見解は質疑を通じても変わらず、今後の予算審査にて横須賀の環境保全を実質的に進める方法を具体的に問うていくつもりです。

■ 4. 子ども・教育・福祉分野における、構造的なひっ迫の改善を求めました
 放課後児童クラブの待機児童を「最終的にはゼロにしたい」としつつ、保育と学童で同じ子どもが二重に待機させられている構造を、最優先で解消すべき問題として位置づけてられてはいない印象でした。
 また教頭を含む教職員の長時間労働が過労死ラインを超えているにもかかわらず、いまだに改善に向けた動きは鈍く、「全国どこでも達成できていない」という答弁でした。
 不登校対策は、これまで個別校任せに近い運用で、全体を統括しデータに基づき支援設計するセンター機能の整備が遅れてきた経緯もあるため、「調査研究」などと言わずに新年度開始直後から具体的な子どもたちの支援の取り組みを始めるよう求め、新倉教育長もこれを了承しました。
 療育相談センターは、医師診断まで数ヶ月待ちが前提になっている一方、診断前の保護者の不安・孤立を受け止める中間的な相談機能(市の責任としてのワンクッション)を制度的に位置づけられていない現状がありますが、一気に何かが改善する期待感は持てない印象の答弁でした。当事者へのヒアリングを通して必要な対策を講じるよう強く求めました。

■ 5. 事業見直し・イベントで、判断基準が不透明である点を指摘しました
 財政の健全化のため、R8年度からR11年度まで合計88.2億円の削減を進めていくとの方向性が本市から打ち出され、事業見直しの方針が示されました。
 しかし、事業見直しの客観的で定量的な基準や配点は市民から見えず、「第三者評価の仕組みを新たに作る考えはない」とした答弁でした。
 特に今回の質疑で課題視したのが、MIND ROCK AWARD※3などのイベントです。「都市イメージ向上」「歴史・文化の発信」など、ふわりとした定性的な理由で継続されています。
 一方、介護者への紙おむつ支給事業など、数百世帯の福祉が削られることが定量的に明白な福祉サービス削減方針が打ち出されています。削減と比べたときのイベントの優先順位の根拠が、市民から見て分かりにくい状況は、質疑を経ても変わりませんでした。
 「すべての事業でKPIを設定している」と言いつつ、そのKPIと事業継続判断の関係性が公開されておらず、「EBPMと言いながら、『効果が数字でこれだけ表せるから、税金をつかって、やる』ではなく、実際は『やりたいから、税金をつかって、やる』という、説明にもなっていない理由付けでしかないではないか」という疑念を払拭できませんでした。

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質問の最後で、わが会派からは、上地市長に対して以下のように求めました:
「『横須賀が復活した』かどうか、『誰も一人にさせないまちになったのか』を決めるのは市長でも議員でもなく、市民です。どんな政策も市民の実感なくしてありえません。市民を置き去りにするような横須賀市とならないことを強くお願い申し上げまして、会派一市民からの代表質問とさせていただきます。」

来週以降の委員会等でさらに詳細な議論をしていきます。

※1 ネイチャーポジティブ:生物多様性の損失を止め、2030年までに自然を回復軌道に乗せ(反転させ)、2050年までに完全な回復を目指すという国際的な目標。横須賀市では改定版横須賀市環境基本計画2030においてネイチャーポジティブを明確に位置づけています。

※2 30 by 30:2021年のG7サミットにおいて、2030年までに陸域・海域のそれぞれ30%を保全・保護する国際目標。横須賀市は令和4年度に30by30アライアンスに参加しました。

※3 MIND ROCK AWARD:40歳以上のメンバーを1名以上含むバンドやソロアーティストを対象とした、ロックバンドの音楽コンテスト

 

 

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