横須賀のシティプロモーションを強化せよ!

おはようございます。横須賀市議会議員の堀りょういちです。

 

前回9月議会に引き続き、12月定例議会で一般質問を行いました。

今回は横須賀のシティプロモーションについて

 

 

本市では観光や移住定住、農水産物など、様々な横須賀の魅力の創造・発信(シティプロモーション)を行なっています。

しかし、市民を巻き込めていないこと、横須賀市全体としてのブランディングが弱いこと、効果的に横須賀の魅力発信ができていないことなどの課題を指摘しました。

 

 その上で、私からは市民のシビックプライド(地域の誇りと愛着)を醸成するために、指標を定め、市民への分かりやすい情報発信や市民参加の促進を進めることを提言しました。

 

さらに、現在市の各部局でバラバラに行なっている情報発信を統合して全市的なシティプロモーション戦略を作ることを提言しました。

 

 

 東京23区からの転入者に市が聞き取りをした結果、観光等で横須賀に訪れる回数が多い方ほど、横須賀に移住する傾向があると分かりました。

しかし現状、複数回観光に訪れる方を移住定住につなげるような仕掛けはありません。

本来は観光客増を目指す部署と移住者増を目指す部署が一つの大きな戦略の下に有機的に連携し、情報発信等がなされるべきではないでしょうか。

これらの提言に市長からは前向きな回答がありました。今後どう改善がなされるか注視していきます。

 

 9月議会では子育てや教育、高齢者福祉を取り上げましたが、これらを充実させていくためには市の財政を確固たるものにしなければなりません。

そのためにも、行政の無駄をなくし、市外から人や投資を呼び込むことが重要です。これからも私は横須賀の未来視点に立って、積極的に政策提言を行っていきます! 

 

 

★一般質問一問目の原稿全文は以下のとおりです。

 

1.シティプロモーションの推進について
(1)本市のシティプロモーション政策に関する現時点での評価について
 1点目は、シティプロモーションの推進についてです。シティプロモーションとは、自治体がその地域の魅力や特色を内外に戦略的に発信し、イメージ向上を図る活動全般を指します。そして、このシティプロモーションを通して、対外的なイメージや定住意向等の維持・向上に努めるとともに、横須賀市民としてのアイデンティティを強化することにつなげていこうとするものです。
 本市のシティプロモーションは、「YOKOSUKAビジョン2030」と「横須賀再興プラン」を基盤とし、分野別に複数の計画・施策が展開されています。
・観光立市推進基本計画を土台とする観光立市推進
・子育て世代をメインターゲットにした魅力発信サイト「Live in Yokosuka」等を活用した定住促進
・企業誘致や各種メディアへのシティセールス
・「よこすか野菜」「よこすか海の幸」のブランド化
・音楽・スポーツ・エンターテイメントに関する地域資源とこれらの要素を融合させた新たな魅力創造
 このように本市では、様々な地域資源の磨き上げを行いつつ、SNSや動画など様々な手法でその魅力発信を行っています。結果的に年間観光客数の増加や人口の社会減を抑制することにつながったものと思いますが、一方で、本市の人口は「横須賀市人口ビジョン」で示した将来展望はおろか、国推計よりも早いスピードで減少しています。
 こうした状況下において、シティプロモーション政策をさらに強化していく必要性を感じています。これら本市のシティプロモーション施策への現時点の評価と課題認識について、市長のご所見を伺います。

(2)市民に向けたシティプロモーションの強化によるシビックプライドの向上策について
 さて、本市の従来のシティプロモーション施策は主に「市外の人」に向けて地域の魅力をアピールするものでした。しかし、これをさらに加速させ、そして真に持続的なものにするには「市外」への発信だけでなく「市内」、つまり横須賀市民のシビックプライド(地域への誇りと愛着)の醸成が重要ではないでしょうか。つまり、市民が自らの地域に対して誇りを持ち、自ら積極的にまちの魅力を創造・発信したくなる土壌づくりが必要ではないでしょうか。
 特にSNSがコミュニケーションの主流となる現代において、若い世代が観光地や移住先を探す際には、行政の公式情報よりも実際にそこに住む人たちの声を重視しています。横須賀市民による「ここは本当に住みやすい」「ここは誰もが来るべき!」という共感的な情報発信は最強の広告媒体と言えます。
 今年の4月に実施した「横須賀市市民アンケート」の結果を見ると、海、音楽、スポーツ、アート・芸術、歴史の活用については全体的に取組が進んでいる実感が市民にはなく、これらを活用した取り組みについて「良い影響を与えていると感じるものはありますか」という質問に対して「特になし」と回答した方が45%程度おり、R2年とR6年でほぼ変わらない割合となっています。
 こうした現状に対して、次期の観光立市推進基本計画では観光施策に対する市民の意識を向上させることをKPIに入れ込む方向で検討していると伺っていますが、観光という限られた視点からだけではなく、市のシティプロモーションというより広い観点から、市民の意識向上を計る必要があるのではないでしょうか。
 いずれにせよ、せっかく本市が魅力を創出し、積極的に発信を行っても、それが市民に認知されず、市民の誇りや一体感につながらなければ、本市の文化としてその魅力は定着しないことになってしまいます。むしろ市民のシビックプライドを高めることは、将来的に市外の人を呼び込むことにつながるだけでなく、転出の抑制、Uターンやふるさと納税による支援という形での地域貢献にもつながります。
 本市のシティプロモーション政策について、市外への魅力発信と同等かそれ以上の力を、市民のシビックプライド醸成に注ぐ必要があるのではないでしょうか。市民のシビックプライドを醸成するためのシティプロモーション施策を展開する必要性について、市長に伺います。

(3)市職員から始めるシティプロモーション
 市民のシビックプライド醸成を進めるためにも、まず必要なのは本市職員一人ひとりがプロモーターとなる意識の醸成です。
 職員が理解していないことを市民に伝えることはできず、効果的な発信はできません。また、離職・早期退職が増加する中で人材定着が急務となっている現在、職員満足度やエンゲージメントを高めることにつながる取組みとしても市職員のシビックプライドを高めることは重要ではないでしょうか。
 兵庫県尼崎市では尼崎LOVE、略して「あまらぶ大作戦」と称して、全庁3,000人の職員に対して一人ひとりが魅力発信のメディアであると位置付け、理論と実践を組み合わせたシティプロモーション研修や勉強会を継続して実施しています。まちづくりについての先進的な事例や理論などを市民と職員がともに学び、考える研修を実施しており、職員の意識改革と地域の課題解決を一体化させて進めています。
 本市職員のシビックプライドを高め、市のプロモーターになることを目指した取組みを推進することについて、市長に伺います。

(4)シティプロモーションの推進戦略および体制について
 さて、現在の本市のシティプロモーション政策は複数の部局にまたがって別々に行われています。移住定住や関係人口増、民官連携、市の広報全般については経営企画部が、魅力PRや観光推進は文化スポーツ観光部が、よこすか野菜や海の幸のブランド化や企業誘致は経済部が主に所管しています。当然内部での情報交換はされていると思いますが、このようにシティプロモーションを推進する体制がバラバラになっていることによる、課題がいくつか見られます。
 1つ目は情報発信の整理です。例えば、都市魅力を発信する「ワクワクよこすか」では、内容が観光に寄っていて、よこすか野菜や海の幸の紹介などがありません。よこすか野菜や海の幸の発信は、経済部が単独でSNSを立ち上げて発信している現状です。逆に「ワクワクよこすか」に載っているイベントが「横須賀観光情報サイト」には掲載されていないものも見受けられます。シティプロモーションの視点から整理統合に向けた検討が必要ではないでしょうか。
 2つ目は市全体としての統一的なメッセージの設定です。観光、移住定住、企業誘致など、当然発信すべきメッセージや内容は異なるわけですが、市民や市外の人々が受け取る横須賀市のイメージは一貫性を欠くものとなります。それが結果的に市の認知度向上や都市ブランドの確立を困難にさせているのではないでしょうか。
 特に市民にとって「私たちのまちはこのような価値を持っている」という理解につなげるには、現在のような分散的なメッセージ発信では困難です。キャッチコピー開発、ロゴ・デザインの統一、ブランドブックの制作など一つの市としてのブランディングを進めるべきではないでしょうか。
 3つ目は交流人口・関係人口・定住人口に対して全体的な戦略性が求められます。例えば、「東京23区からの転入者アンケート報告書」からは観光等で横須賀に訪れる回数が多い方ほど横須賀に移住する傾向があるということでしたが、複数回観光に訪れる方を移住定住につなげるような仕組みを構築することで、さらにこの傾向を後押しすることができるのではないでしょうか。本市の宿泊客やファンクラブ会員を対象にリピーター特典制度を導入して複数回の来訪をサポートしつつ、移住体験ツアーや体験型のふるさと納税返礼品の案内、より直接的には移住セミナーの案内をするなど、交流人口から関係人口へ、関係人口から定住人口へと展開させていくには、部局の垣根を越えた連携が求められます。
 これらの課題を克服し、全市的なシティプロモーション政策を推進するためにも、組織横断的なタスクフォースまたは一元的な推進体制の構築が必要ではないでしょうか。
 愛知県豊川市は2023年の組織改正でシティセールス関連事務と定住・交流施策情報を一元的に発信する部署を新設し、移住・定住・交流を促進する施策の情報を集約し、問い合わせなどへワンストップで対応できる組織にしています。
 また、秋田市は「人口減少・移住定住対策課」という部門横断的な部署を設置し、この課を中心に全庁推進会議を展開しています。ここでは単に各部局の事業の周知をするだけでなく、市全体としての戦略の共有が行われており、それぞれの部署が統一の目標に向かって動く体制を構築しているのがポイントです。
 横須賀再興プランや観光立市推進基本計画が新たに策定される今こそ組織体制を見直す好機ではないでしょうか。
 これら3点の課題を踏まえて、全市的なシティプロモーション推進体制をつくり、シビックプライド向上も含めたプロモーション戦略を策定すべきと考えますがいかがでしょうか。市長に伺います。

(5)シティプロモーション施策の成果を測る仕組みの導入
 以上のようなシビックプライド向上を含めたシティプロモーション政策を展開するにはEBPMの視点は不可欠です。これまで、本市では市民の暮らしやすさや定住意向については継続的なアンケートをとってきましたが、市民の地域推奨意欲や地域貢献意欲、市外の人の本市へのイメージなど、シティプロモーションやシビックプライドにまつわる調査は行ってきませんでした。こうしたデータを継続的に収集し、市民に共有することで、市を挙げてのシティプロモーション政策を展開できると考えます。本市のシティプロモーション施策についてエビデンスベースの政策立案と継続的な改善を行う仕組みを構築することについて市長のご所見を伺います。

 

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