こんにちは!
横須賀市議会議員の堀りょういちです。
2027年に放送されるNHK大河ドラマは、勝海舟のライバルとも言われ、日本の近代化に貢献した小栗忠順の活躍を描いた「逆賊の幕臣」に決まり、主演は松坂桃李さんが務めることになりました。
小栗上野介忠順は日本の近代化と横須賀市の発展の礎となった横須賀製鉄所の開設に尽力した人物で、2027年は横須賀製鉄所開設160周年にあたる年です。大河ドラマを通じて、小栗公の功績とともに、横須賀の地に多くの人が注目し、訪れるきっかけになれたらと思っていまして、横須賀市でも様々な事業を企画したいと考えているようです。
5分の解説動画をアップしていますので、こちらもご確認ください!
https://youtu.be/KDq23FMN6cY?si=v11LzYjel-dda1m-
動画でもお伝えしていますが、市が作成している小冊子「小栗上野介と横須賀」がわかりやすいので、ぜひこちらもお読みください。
以下は動画の内容の文字起こし版です。
小栗忠順は小栗家の12代目として文政10年(1827年)、江戸神田駿河台で生まれました。
小柄であまり丈夫ではなかったそうですが、9歳から私塾に通い、剣術や柔術等を学び、文武共に秀で、結果、なんと若干17歳で将軍の護衛役になりました。
そして1853年、みなさんこの年が何の年かご存知ですね。
ペリーが来航し、ここから小栗の活躍が始まります。
大老、井伊直弼によって日米修好通商条約が調印。
批准書の交換がアメリカで行われることになり、その使節団として小栗忠順が抜擢されることになります。
幕府の要職にいなかった小栗ですが、その能力の高さや、「貿易は座して待つのではなく、自ら進んで海外に出て通商貿易をするべき」という小栗の貿易に対する一貫した思いなどが、大老の耳に入ったのではないかと言われています。
使節時代の小栗の有名なエピソードとして、通貨の交換比率の是正があります。
当時、日米修好通商条約で、外国の貨幣と日本の貨幣は「同種同量」で交換するとされていました。
しかし、金と銀の交換比率は、海外では金の価値が日本よりも3倍も高く、そのせいで日本から海外へと金が流出してしまっていたんです。
小栗はフィラデルフィアの造幣局の一室で、日米の貨幣の金含有量をそろばんと天秤ばかりで瞬く間に計算して、周囲を驚かせ、その不公平さをアメリカ側に納得させました。
これがアメリカ側の評価を一躍高めるきっかけになります。帰国後、ここから横須賀製鉄所の話です。
小栗は幕府の経済力の立て直しに奔走します。
36歳の時に幕府の財政担当である勘定奉行に任ぜられ、上野介と改めます。
ある日、幕府の軍艦が破損します。
そこで、たまたま横浜に寄港していたフランス軍艦が完璧に修理をしてくれました。
当時は日本の近代化と海防強化に不可欠な役割だった造船業。小栗は本格的な造船所と修理施設の建設を考えていました。
しかし頼りにしていたアメリカは南北戦争で技術援助の余裕がなく、イギリスは薩長と接近している。
こうした折だったので、フランスにぜひ力を貸してほしいと、こうなったんですね。
そして、製鉄所の場所は過去複数の外国船修理の実績を持つ横須賀村が、水深や石造りのドライドックを据えられる岩盤の硬さ、さらに地形がフランスを代表する港ツーロンに似ていることなどから選ばれました。
製鉄時建設には幕府内外から強い反発がありました。
財政難の折、作る必要があるのかと。
例えば勝海舟は、造船よりも船を操ることのできる人材の育成を優先すべきと主張したそうです。
小栗はこうした話に耳を貸すことなく、日本の近代化に大きな役割を果たすものだと強く主張。
第14代将軍徳川家茂はこれを承認し、横須賀に製鉄所が作られることに決まりました。
依頼されたフランス人技師の名前がヴェルニー。皆さんご存知のヴェルニー公園のヴェルニーさんですね。
実は外国人を公式に要職に就けた初の例であり、この人事によって近代的な経営管理手法が
日本に初導入されています。例えば、職務分掌(役割分担)や雇用規則、残業手当、社員教育、西洋式簿記、月給制など、企業経営・人事労務管理の基礎が造船所で実践されました。
日本における労務管理・企業経営の近代化の先駆けが実は横須賀から始まっているんですね。江戸幕府が新政府に移行してからも、横須賀製鉄所の建設は進められることになるのですが、ここで悲劇が起こります。
江戸末期、鳥羽・伏見の戦いで幕府軍が敗走する中、小栗は新政府軍に対して徹底抗戦を唱えました。
しかし、受け容れられず慶応4年1月に徳川慶喜から幕府を罷免、「御役御免」を言い渡されます。
その後、領地の上野国(現群馬県)に隠居しましたが、新政府軍の追討を受け捕縛され、慶応4年4月6日(1868年5月)に処刑されました。
日本の近代化を進めようと奔走してきた小栗でしたが、その後、明治新政府に「逆賊」と見なされ殺されてしまうと。
今回の大河ドラマのタイトル「逆賊の幕臣」とはこのことから来ているだろうと思われます。
小栗は横須賀製鉄所のほかにも、江戸~横浜間の鉄道建設や国立銀行、電信・郵便制度、郡県制度の創設や、また商工会議所や株式会社組織など近代的な経営方法をも発案していました。
小栗の尽力によって建設された横須賀製鉄所は、造船や船の修理分野ばかりでなく、さまざまな分野でかかわっていきます。
日本初の洋式灯台である観音埼灯台の建設も横須賀製鉄所が関わっているんですね。
類まれなる先見性と行政手腕を発揮した小栗の功績は、近年あらためて見直されているようで、今回大河ドラマの主役として選ばれたのもそのような経緯があるのでしょうか。
「幕府の運命に限りがあるとも、日本の運命には限りがない」という小栗の有名な言葉があります。移ろいの激しい現代において、小栗の生き方、生き様から学べることは多いように感じます。