「発達障害」を考える③(一般質問報告) 〜 横須賀市議会議員 堀りょういち

子育てパパ33才、横須賀市議会議員の堀りょういちです。

過去2回のブログでは、私が11/27(金)に行った一般質問から、発達障害についての基本事項、早期発見・早期支援の必要性について記載しました。

シリーズの最後は「親への支援」です。

障害者支援は、当事者への支援と同じくらい、親への支援が重要です。

特に、発達障害児の家族のストレスの度合いや育児の負担感は、障害のない子どもの家族や他の障害児の家族と比較しても高いと言われます。
その理由として、発達障害は障害が疑われてから診断・告知を受けるまでの時間が一般的に長いことや、目に見える障害ではないこともあり、子どもの発達に違和感を感じながらも、障害を拒否したい、否定したいという気持ちとの葛藤に直面することなどがあります。

そんな親の最初の困難は、子どもの障害の有無を確認するために医療機関を受診するタイミングです。多くの医療機関で受診申込みをしてから初診を受けるまで長く待つ必要があり、横須賀市の療育相談センターでは現状2〜3ヶ月程度の待機が必要となっています。

2〜3ヶ月なんてたいしたことないと言われるかもしれませんが、親の中には生きるか死ぬかの気持ちで、ギリギリの状態に追い込まれている方も少なくありません。

療育相談センターとしても、申込後ソーシャルワーカーによるインテークや心理士によるフィードバックなどの取組を行っていますが、専門的な相談・支援だけでなく、辛い気持ちに寄り添って、前を向けるよう話ができる関係を多くの保護者は求めています。

対策①ペアレントメンター制度の導入

上記で述べたように、専門的な相談支援だけでなく、辛い気持ちや生活上の課題などについて気軽に話すことのできる当事者間のネットワークは重要です。しかし、現在、各学校の支援級に在籍する保護者の集まりは少なく、既存の当事者団体においても就学前後の年の子どもがいる保護者は減ってきていると聞いています。

そこで、発達障害のある子どもを育てた経験を持つ親が同じ境遇にある保護者に寄り添いサポートできるよう、人材を養成し、電話相談や地域での相談支援等に活かす取組である、「ペアレントメンター制度」を導入するべきだと考えます。

これについて市長は「当事者間のネットワークの重要性は認識している。ペアレントメンター制度の導入については、関係団体等と意見を聞きながら、効果的な活用が図れるか検討していく。」

と、前向きな答弁をいただきました。
今後どのように検討がなされるのか、追っていきたいと思います。

対策②ペアレントメンターを相談員として配置した、相談体制の構築

そして、このペアレントメンターを相談員として配置した、相談体制を構築するべきだと考えます。

10人に1人が発達障害と言われ、有病率は今後さらに高まると思われます。それをすべて専門的な人材のみでカバーすることは困難であり、当事者や地域の力をいかに借りるか、いかに引き出すかが行政の視点として今後求められると考えます。

これについて市長は「必要な相談体制は確保していると考える。しかし、当事者の子育て経験は、発達障害への理解や保護者の不安軽減を図る上で示唆に富んでいるものと思われるので、ぜひ今後講演会や交流の場などで経験が活かせるように検討していきたい。」

とのことでした。新たな相談体制の構築、ということには繋がりませんでしたが、対策①と絡んで、当事者の経験を活かす方向で検討を進めてもらえるようで、一歩前進です。

さて、障害の受容に対する、親の辛さや悲しみの背景には、障害があることが「不幸」であり、そのような子を生んだ親の責任であると考えてしまうことにあります。現代社会において、そのように考えてしまうことは無理からぬことであり、なんとか「普通」に近づけようとか、障害を克服しようと多くの親が苦心されます。

それに対して、「障害、つまり、日々の困難さは、環境とのミスマッチを減らし、日常生活の不適応を減らし、その子なりの楽しい人生が過ごせれば、減らすことは可能である」と、療育相談センターの広瀬所長は述べています。そのためには親自身が障害について向き合うだけでなく、周囲の理解が不可欠です。

冒頭の話に戻りますが、本来発達障害は発達凸凹であり、定型発達の子どもとの境界線は曖昧なものです。私たちが「みんな違ってみんな良い」と、あらゆる「違い」を肯定的に捉えることができれば、障害は障害でなくなっていきます。

もちろんそのような理解が広がることは簡単なことではありません。未だに根強い障害への偏見や差別をなくし、正しい理解を促す努力を積み重ねていくことが行政には求められます。

対策③さらなる周知啓発を

そこで、障害に対する市民への周知啓発を強化していく必要性があります。
そして、発達障害に対する理解促進の具体的な取組として、発達障害啓発週間などの時期に発達障害児・者の展覧会と市民講座を横須賀美術館等で開催するのはいかがでしょうか。

発達の遅れや偏りがあっても、その独特な感性から生み出される作品は、万の言葉以上に人の心を動かす力を持っています。
また、このような作品発表の機会は、障害児・者が自らを表現し、活躍できる貴重な場となり、障害児・者の精神的な安定や自身の回復、主体性に繋がる機会にもなると考えます。

以上が、今回の一般質問の概要です。
その他、「妊娠期から成人期までの切れ目のない支援の必要性」についても一般質問では取り扱っています(ブログでは割愛します)。

発達障害については、こども家庭支援センター長も答弁したとおり、ここに来てようやく認識が広がってきたところです。
対策のあり方についても、どの自治体においても模索段階で、常に改善の必要性に迫られています。

新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、本市財政の逼迫が想定される中、新たな提案を多くしたことについては反発があったかもしれません。

しかし、敢えて申し上げるならば、発達障害は10人に1人いると言われるほどに多くの人に影響のあるテーマであること、そして、深刻な課題である児童虐待、不登校、ひきこもり等の背景には発達障害が関係するケースが少なくないことを考えれば、発達障害について新たに対策を講じることの意義は大きいと考えます。何より、子どもたち一人ひとりが、障害の有無に関わらず、発達の特性に関わらず、幸せに生きていける横須賀を目指すためにも。

引続き議会で取り扱っていきたいと思います。
皆さんのご意見をぜひ聞かせてください。

☆当日の一般質問の動画は下記URLから見ることができます。
1時間45分くらいのところが私の質問の回です。

https://smart.discussvision.net/smart/tenant/yokosuka/WebView/rd/speech.html?year=2020&council_id=59&schedule_id=3&playlist_id=0&speaker_id=0

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