今日は、自殺対策全国ネットワークのメンバーで、NPO法人LightRing.代表の石井綾華さんの講演に出席してきました。
タイトルは「何が若い世代を追い詰めているのか〜深刻な悩みを相談されたら〜」。
横浜市立大学の講堂はほぼ満席。若者の自殺対策についての関心の高さを感じました。
日本全体で見れば自殺死亡率はここのところ減少傾向にあるにも関わらず、若者については変わらず深刻な状況が続いています。
20代、30代の死因の第1位は自殺であり、この異常な状態は世界的にも日本くらいであると言われています。
昨年の座間市における事件(SNS上で「死にたい」などの希死念慮のある人に声をかけ、殺害したとされる事件)から、若者の自殺対策についてかなり注目されるようになったのだと思います。
事件後、政府でも緊急の招集があり、インターネット上での相談窓口の開設の推進や、逆にインターネット利用における、規制の必要性なども話題に上がりました。
今年の3月にはSNSを活用した若者向けの相談窓口が多く作られました。
私も前職時代、LINEを使った相談窓口の開設に関わりました。
最近では、夏休み明けの子どもの自殺が急増しているということで、8月下旬から9月上旬にかけて、子どもの様子に注意を払うように声かけをし、学校に行くことが辛い子どもたちには「無理に学校に行かなくてもいいんだよ」というメッセージを伝えようという報道が多く見られています。
今月10~16日は自殺予防週間で、全国的にも啓発が進む時期。
これを機に、若者が抱えるさまざまな悩みや問題、自殺対策の実態やその対策等について、理解が広がればと思っています。
若者の自殺対策について、これをやれば解決するというものはありません。
効果的な施策が複合的になされることが求められており、リスクの高い人に対する介入的な支援から、リスクの低い人に対する予防の取組、遺族の方への支援まで、多岐に渡ります。
私は「SOSの出し方に関する教育の推進」「なんでも相談窓口の開設」「ライフステージの転換期における切れ目のない支援」など、実現したい多くの政策がありますが、今回は割愛します。本質は、人と人との支え合いです。
自殺で亡くなる多くの人は、生きたいと思いながら、それでも生きることができないと、追い込まれた末に亡くなっています。それだけ苦しい思いに、誰かが寄り添い、分かち合うことができたら。
自殺してしまうほどに悩んでいる人が、これだけいる。それでは、死ぬほどに深刻ではなくても、毎日ため息をついて生きている人が、果たしてどれだけ、この街にいるのでしょうか。
辛いことがあっても、周りを信じ、自分を信じて、困難に立ち向かっていける勇気と、
「困った時はお互い様」と互いに手を差し伸べる優しさが、今の社会には必要です。